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譜面台の上で楽譜を大きく広げた時に譜面が落ちてイライラする。
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譜面台にツール類が乗らないから足元に散らばってしまう。
本製品は、日本の文具メーカーが長年培った技術力により自信をもって世界に発信する商品です。確かな技術力をベースに、企画・設計・デザインされています。商品開発に関わった、プロミュージシャンとプロフェッショナルな物作りの達人たちによる、世界初のコンセプトから生まれた、高品質を誇る商品をお届けします。
ある日、文具づくりを生業としていた者が、従弟である世界的なトップミュージシャンである吉田次郎氏(以下:ジローさん)と会談している時に、
「ミュージシャン向けの文房具が無くて日頃、仕事で困っている。」と言いだしました。
言われてみれば、今までの文房具作りのメーカーはどこもそのような取り組みをしたことが無く、それを聞きつけた商品企画や物作り、設計、デザインのプロが強い関心、共感を持ち、ジローさんの発言がきっかけとなり、この課題を解決するためのチームを発足させたのです。
メーカーの商売ベースのプロジェクトではなく、「このプロジェクトは面白い!」と感じた仲間たちが手弁当で集結したのでした。
このプロジェクトの仲間たちが面白いと感じたのは、その切り口だけではなく、様々な分野のプロである開発メンバーの中にエクストリームなユーザー(プロミュージシャン)がいたからです。
このようにして、新しい市場開発、商品企画、そのための開発手法の検討が始まりました。
この新しい開発は、従来の縦割り組織のメーカーでは実現できず、我々のようなフラットな関係を保ち、それぞれのポジションのプロのチームでしか出来ないであろうという、おおかたの予測を全員が感じていました。
さて、いよいよプロジェクトがはじまり、幾たびかのディスカッションの末、10アイテムのアイデアを検討することになりました。そしてそれらのアイテムの可能性、実現性を検討するために、ユーザーであるジローさんも共に、現場の工場やメーカーをまわり、開発を推し進めたのです。
10アイテムに優先度をつける段階になった時に、現実的な可能性から決めていかずに、ユーザーの困り度から決めていったのは、まさにこのチームならではでした。
その中でも、特に困り度の優先度が高かったのは、譜面ファイルと、音楽ツールの収納ケースでした。
優先度の基準は、「いかに余計なことに煩わされずに演奏に集中でき、最高のパフォーマンスを上げられることができるか。このことを阻む障壁はどこにあり、どうすれば解決できるか」でした。
そうして、ここに商品コンセプトの焦点が浮かび上がってきたのです。
■コンセプト
●ミュージック・ステーショナリーは、音楽作曲者、演奏家など、音楽にたずさわる様々な人々の様々なストレスを解消する為の商品開発を目指します。
●ジャズ、クラシック、ポップス、演歌などのカテゴリーに縛られない、幅広いユーザーを対象にしています。
●音楽活動にあたっての様々なストレスを解消する道具は、モノ的な価値に留まらず、コト的価値、より良い曲、より良い演奏という豊かな体験価値をも生み出します。
<譜面ファイル>
まず、譜面ファイルに要求されたのは
●A4のファイルが4枚開きに拡張できること
●野外の風の強いロケーションでも譜面が飛ばないこと
●五線譜に最大限書き込めること
●耐久性や機能性を十分考慮した素材を採用していること
などが挙げられました。
そこで、検討・試作を繰り返し、「五線譜がファイルから飛ばないようにするためのストッパー機構の採用」「ファイルそのものが譜面台が落ちないための、滑り止めマグネットや、ファイル表紙に譜面台をはさむための切込みをいれること」などを採用しました。
全てにおいての重要ポイントはミュージシャンのジローさんが手間をかけずにワンアクションで行えることでした。
<収納ケース>
収納ケースに要求されたのは、
●譜面台に取り付けることができて、決してずり落ちないこと
●ミュージシャンが必要なツール全てを収納できて、すぐに取り出して使えること
などが挙げられました。
検討・試作を繰り返されましたが、様々な素材の譜面台に取り付けられるための機構の開発が大きな難問でした。 また、ワンアクションで譜面台に着脱ができること、決して着脱音がしないことも重要なジローさんの要求でした。
様々な検討の結果、マグネットを滑り止め素材の組み合わせによる、譜面台支柱への強力な保持力を実現することができました。この滑り止め素材は、開発メンバーがたまたま車を運転していた時に、ダッシュボードに貼り付けられた携帯の滑り止めシートを見て思いついたのです。
また、試作作製の中で、マグネットの数もどんどん増えていき、最終的には、16個にまで増えてしまいました。ここは、コストとの戦いでした。
商品の姿が見えてきたところで、吹奏楽をしている学生に対して受容性調査をしてみましたら
●ファイル → 中学生の79%、 大学生の40%が欲しい
●収納ケース → 中学生の84%、 大学生の55%が欲しい
という高い評価を得ることができました。
3年後には国内外で文房具というより、「ミュージシャンのための無くてはならない当たり前の必需品、ギアにしていきたい」と考えています。 さらに今後は、多くのミュージシャンと一緒になってこのギアを拡充していければと考えております。